住まいに関するトラブルは多種多様であり、その対応策もさまざまあるが、本研究では、以下の2点を前提に研究を進めた。(1)住まいづくりの初期段階では、住まい手に対する住まいづくりの依頼先選定(設計者、施工者等)、および契約に関する情報提供が重要であう。(2)子どもから高齢者まで、住情報入手の場となる学校および社会での住教育の充実を図ることが重要である。具体的には、今年度は昨年度実施した調査のまとめとともに以下の調査・検討を行った。 (1)住まい手を対象とした住まいづくりについてのアンケートの実施、集計分析(昨年度より継続) (2)インターネット建築相談のデータ分析(昨年度より継続) (3)住まいづくり経験に関するヒアリング調査 住まい手を対象としい住まいづくりの経験、住情報収集の状況に関するヒアリング調査を行った。これらの結果を踏まえ、座談会形式の聞き取り調査を行い、より詳細に住まいづくりにおけるつまずきや、依頼先の認識などの把握を行った。 (4)住情報提供機関および相談活動実施期間の視察およびヒアリング調査 神戸、静岡、東京等において、住情報提供を行っている機関・活動団体の実態を調査した。各機関における出版物や配布物および提供されている講座、ネット上での情報提供の実態を把握した。 (5)教材収集および内容分析 住情報提供機関が作成した融材および学校における家庭科教育教科書および副読本を収集し、内容を検討した。 以上より、住まい手は住まいづくりのプロセス、依頼先の種別を理解できていないことを再確認し、住まい手は住情報を入手できる状況にあっても、情報の信頼性を自身で判断できないことを把握した。また、住情報の提供については、社会教育としては先進的実践が始まり、家庭科教育にも可能性はあるが、今後にその広がりが望まれる。
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