中国において、仲間入り場面を設定し、データを収録した。上海市の幼稚園で、一室を借りて、最初に二人の子どもに遊んでいてもらい、後から仲の良いもう一人の子どもに入室してもらう仲間入り状況を設定した。ビデオで収録し、子ども達の間でどのよう言語的・非言語的なやりとりが行われているのかを記録した。現在までのデータ分析からは、子ども達同士の相互交渉があまり観られず、仲間入りに関するや取りとも観られない。各々が各々の遊びを黙々と展開している様子だった。仲間入り側と遊び集団側でのコミュニケーションの取り方の相違についても観られない。一斉的な活動の多い中国の集団保育の場面では、あまり仲間入りが生じず、そのために、仲間入りの方法が確立していないのかもしれない。 日本では、3歳児の仲間入り場面を観察した。集団生活を初めて経験する3歳児がどのように仲間入り行動を身につけていくのか、保育者はどのように仲間入りのいい方を導入していくのかを明らかにすることが目的である。幼稚園の自由遊び場面での子ども達の相互交渉や仲間入り場面を記録するとともに、保育者から聞き取り調査を行った。3歳児では、「入れて」といういい方が、一緒に遊ぶためよりも場を共有するために使用されているようだった。また、保育者は場面に応じて子ども達に「入れて」と言ってごらん」とか、リズミカルに表現して一緒に言わせたりしていた。いい方を教えることで、子ども間のトラブルを減らそうとしていた。子ども達の遊びが次第に構造化されていくに従い、また親密さの度合いに相違が出るに従い、仲間入りの様相が異なってくるようだった。
|