総務省統計局が実施した社会生活基本調査の1991年から2001年までの3回の調査結果を用いて、共働き世帯と非共働き世帯の夫妻のアンペイドワーク時間およびペイドワーク時間の10年間の時系列変化を分析した。ペイドワーク時間は同調査の仕事時間であり、アンペイドワーク時間は家事、介護・看護、育児、買い物、ボランティア活動・社会参加活動の合計である。具体的には、家族類型による比較を中心に、共働き世帯と非共働き世帯の夫妻のアンペイドワーク・ペイドワーク時間の時間量および属性による相違の傾向の変化あるいは不易を検討した。主な研究成果は次の5点にまとめることができる。 1.この10年間に、夫のペイドワーク時間は減少し、アンペイドワーク時間は増加しているが、ペイドワーク時間の減少と比べると、アンペイドワーク時間の増加はわずかである。 2.共働き世帯において、妻の週間就業時間が長い夫のほうがアンペイドワーク時間が長いことは家族類型に関係なく、10年間で変化していない。 3.非共働き世帯の夫のほうが共働き世帯の夫(全体平均)よりアンペイドワーク時間が長いことも家族類型に関係なく、10年間で変化していない。 4.子どものいる家族類型では、妻のアンペイドワーク時間は子どものいない家族類型の妻より一貫して長いが、夫の場合は一貫した傾向はみられない。 5.子どもの有無でコントロールして両親との同居の影響をみると、夫および共働きの妻の場合には一貫した傾向はみられない。非共働きの妻の場合は、両親と同居することによって一貫してアンペイドワーク時間が長くなる。
|