研究概要 |
総務省統計局が実施した2001年社会生活基本調査の調査結果を用いて,夫妻のタイムプレッシャを分析した。タイムプレッシャとして,次の二つのタイプを考えた。一つは,一日のタイムプレッシャであり,行動別の時間配分からとらえた。もう一つは,特定の時間帯におけるタイムプレッシャであり,起床時刻,就寝時刻,仕事からの帰宅時刻に関連するタイムプレッシャを分析した。共働きか否かおよび家族類型によって比較した。主な研究成果は次のとおりである。 1.夫は職業労働により,無職の妻は家事労働により,共働きの妻は職業労働と家事労働の二重負担によりタイムプレッシャを受けている。とくに共働きの妻の二種類の労働による二重負担は平日に10時間を超えている。 2.起床時刻は,共働きの妻がもっとも早く,次いで無職の妻,夫の順になっている。起床後2時間の生活時間の分析によって,二種類の労働の二重負担による共働きの妻の,起床から出勤までのタイムプレッシャの要因が明らかになっている。 3.妻より夫の帰宅時刻が遅いことは予想どおりであるが,10歳未満の子どものいる夫の帰宅時刻はもっとも遅く,同じ10歳未満の子どものいる妻の帰宅時刻はもっとも早い。 昨年度および今年度の研究成果をふまえ,最終年度となる来年度は,夫と無職の妻のタイムプレッシャならびにタイムプレッシャの曜日による相違についてさらに検討し,成果をまとめたいと考えている。
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