研究課題/領域番号 |
18500600
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研究機関 | 札幌国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
永田 志津子 札幌国際大学短期大学部, 総合生活学科, 教授 (60198330)
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研究分担者 |
笹谷 春美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00113564)
山井 理恵 明星大学, 人文学部, 准教授 (40320824)
森川 美絵 国立保健医療科学院, 福祉サービス部, 研究員 (40325999)
山口 麻衣 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 講師 (30425342)
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キーワード | 家事ケア / 介護政策 / 介護保険制度 / 生活後退 / 在宅介護 / 公的ケア / 介護供給システム / 地域福祉 |
研究概要 |
平成20年度は、3ヵ年の研究計画における調査結果の再検討と、報告書の作成を行った。 第一にわが国における介護政策上の「家事ケア」概念の形成とその評価基準の変遷過程について、行政資料および先行研究に照らして分析を行った。「家事ケア」の重要性は、介護政策の初期には認識され評価を得ていたが、介護保険制度の創設と「訪問介護」および「家事援助」サービスの利用者増によって、財政上の要因から政策意図的に低い評価を与えられサービスの提供が抑制されている。第二に調査結果の再検討であるが、調査結果にみる高齢者の生活状況から「家事ケア」のニーズに注目し分析した結果、在宅介護においては、「家事ケア」の重要性が増していること、また「家事」概念の解釈の拡大が必要であることが明らかとなった。それらは、地域の産業構造の変化、自治体財政状況による住民サービスへの影響、家族形態の変化、地域生活環境の変化などにより加速、増大される構造的な問題である。保健、医療サービスの利用への支障のみならず、高齢者の日常生活の維持にも影響し、こうした中での介護保険制度の改正による提供サービスの縮小は、利用者の生活後退につながっている。 公的ケアが不足する状況下では、インフォーマルケアによってかろうじて生活を維持しているケースや、他市の子供による遠距離介護のケースにみるように、要支援・要介護高齢者の生活の継続は危ぶまれるものである。現行の介護保険制度では高齢者の在宅介護に充分とはいえず、介護および日常生活支援に対する地域福祉としての包括的な介護供給システムが求められる。 以上の研究成果に関しては、日本介護福祉学会等において報告した。またこの他、20年度は北欧の介護問題研究者を招聘してのセミナーに参加し、意見交換を行った。
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