近時、食育の問題が重要視され、あらためて日本の伝統的食文化見直しの必要性が認識されはじめている。本研究は、そうした社会的要請を背景として、日本食文化の淵源として位置づけられている室町時代の食文化を、当時盛んに作成された室町時代物語を主たる素材として追究した。室町時代物語の多くは、絵巻や奈良絵本等といった形態で流布しており、それらは視覚的資料としても、当時の食文化・生活文化の実態を知る上で、有益である。本研究では、「鼠の草子」、「猿の草紙」「常盤の姥」等の作品を素材として、当時の食文化および生活文化の実態を究明した。
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