研究概要 |
【目的】本研究ではバナメイシュリンプ(Litopenaeus vannamei)における抗菌剤のオキシテトラサイクリン(OTC)及びオキソリン酸の残留特性を明らかにし、これらの残留抗菌剤が加熱調理によって、どのような影響を受けるのかを調べることを目的とする。本年度はOTCの分析法の検討を行い、さらに、タイ国にて飼育されたバナメイシュリンプ(バナメイ)にOTCをサイナス内投与及び経口投与して、それらの体内動態を調べた。 【方法】バナメイの飼育・投薬実験についてはタイ国立チャンタブリ水産研究所で行い、平均体重247gのバナメイを実験に用いた。分析法の検討:試料として血リンパ1ml、筋肉1g及び殻0.5gを実験に用いた。血リンパについてはハイセップカラム(スペルコ社製)を用い、蛍光法による直接注入法によって分析を行った。筋肉及び殻についてはSep-Pak C18による固相抽出法によって分析を行った。サイナス内投与:OTCを滅菌PBSに1%となるように溶解し、27G注射針を装着したマイクロシリンジにより腹部サイナス内に投与した。経口投与:OTCの投与量が10mg/kg(10mg投与区)及び50mg/kg(50mg投与区)となるように餌料に混ぜ、ディスパーサーでペーストにした後、カテーテルを用いて強制投与した。投薬後、所定時間ごとに5尾ずつ取り上げ、血リンパ、筋肉及び殻を採取し、分析に供した。データをWinNonlin ver1.1(Scientific Consulting, Inc., USA)により解析した。 【結果】本分析法による回収率は血リンパ:99.4±0.5%、筋肉:85.5±3.6%、殻:85.1±3.3%であった。それらの定量限界は血リンパ:0.02ppm、筋肉:0.008ppm、殻:0.01ppmであった。サイナス内投与におけるOTCの体内動態はtwo-compartment open modelにより解析され、得られたモデル式は、Ct=29.2exp(-3.249t)+10.9exp(-0.0588t)であった。その分布容及びクリアランスはそれぞれ839mL/kg及び51.6mL/kg/hであり、分布・排泄はともに速かった。一方、経口投与における体内動態はNoncompartment法により解析した。最高濃度、最高濃度到達時間及び消失半減期は次のとおりであった。「10mg投与区」:3.37μg/mL、7h及び15.0h、「50mg投与区」:17.4μg/mL、10h及び11.5h。バイオアベイラビリティ(BA)は「10mg投与区」で48.2%、「50mg投与区」では43.6%と算出され、投与量が多くなるとBAはやや低下した。
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