今年度、前年度にゴーヤの抽出試料からの粗単離できた糖質分解酵素阻害活性成分の精製をさらにHPLCにより進めたが、精製途中において十分な精製純度、精製量が得られず、構造決定には至らなかった。しかし、Toyopeal HW-40Sによる精製結果より阻害活性成分は低分子画分に存在し、これまでに報告されているトレハロース以外の成分の存在が示唆された。また、ゴーヤの実の水抽出物からの糖質分解酵素阻害活性成分の酵素阻害の形式は、不拮抗阻害であることが示唆された。保存に伴う血糖阻害活性の消長が認められたニンニクについては、調理方法(加熱方法、保存方法等より)から再検討を実施したが、試料の個体差により、阻害活性が認められず、活性の消長原因が明らかにできなかった。試料中の有機酸量を反映すると考えられる試料調製時のpHによる抽出の検討において、糖質分解酵素阻害活性成分の効果的な活性上昇は認められなかった。タマネギに含まれる糖質分解酵素阻害活性成分はODSに対して、30%アセトニトリル溶出画分に強い活性が認められ、フェノール硫酸法による発色より糖類を含むと考えられた。ゴーヤ試料においては、ODS非吸着画分に強い阻害活性が認められフェノール硫酸法による発色は認められなかった。 これらの結果より、ゴーヤ、ニンニク等における糖質分解酵素阻害活性成分は、食事など生鮮食料品の調理品としの摂取では穏やかな調理操作での摂取がその効果を保持できるものと推定される。
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