研究課題/領域番号 |
18500617
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
寺澤 洋子 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (50390307)
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研究分担者 |
宮澤 光博 独立行政法人農業生物資源研究所, 絹タンパク素材開発ユニット, 主任研究員 (90370684)
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キーワード | 咀嚼・嚥下食 / トロミ調整剤 / ユニバーサルデザインフーズ / 近赤外分光法 / 高齢者 / 卵白 / 水和構造 |
研究概要 |
本研究は高い栄養価と食感を兼ね備えたユニバーサルデザインフードを開発することを目的とし、アミノ酸組成や調理性に優れた乾燥卵白を用いてゲル状の嚥下補助剤を作出することを行った。今年度は、食品の酸度およびアルカリ度を制御する添加剤を用いてpHの異なる卵白懸濁液試料および食塩添加懸濁液試料を調製し、クリープメーターを用いて得られる物性値(かたさ、付着性、凝集性)を基準にして調製試料の評価を行った。調製卵白ゲルの濃度と物性値に明瞭な相関は見出されなかったが、試料のかたさは塩の添加およびpH4.8において調製したゲル試料で増加する傾向が示された。この原因として、塩析や等電点が関与する蛋白質の凝集が関連していると推察した。一方、加熱処理温度の上昇に伴い凝集性は低下する傾向が見出された。特に高温加熱ではかたさは増加するが、内部結合力の低下のため咀嚼が容易になることが示された。「嚥下食ピラミッド」を用いて調製卵白ゲルの評価を行ったところ、pH4.8試料では5%(80、90℃処理)、10%(60、70℃処理)、15%(60℃処理)、pH6.0試料では5%(80、90℃処理)、10%(70、80℃処理)、15%(60、70℃処理)、pH8.0試料では5%(90℃処理)、10%(70、80、90℃処理)、15%(70、80℃処理)および食塩添加試料では5%(80℃処理)、10%(70、80℃処理)、15%(70℃処理)の計21試料が嚥下食の基準に適合することが示された。以上の結果、pHの制御および塩の添加により卵白ゲルの物性が改変され、咀嚼・嚥下補助剤としての利用範囲の幅が広がることが示唆された。
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