研究概要 |
本研究では、大豆製品加工の途中に発生する未利用水溶性画分に多く含まれるprotease inhibitorの一種であるBowman-Birk Protease inhibitor(BBI)を主成分とした食素材をベースにした癌予防食の開発を目指して、BBIが主成分として含まれる画分を粗精製し、その試料を機能性{癌抑制遺伝子コネキシン43(Cx43)遺伝子誘導能と癌抑制機能}および安全性をin vitro,in vivoで評価すると同時に、癌予防食品としてBBIを摂取する最適なレベルを動物モデルを用いて明らかにする。 本年度は、Cx43が癌抑制遺伝子として作用していることが確立されている腫瘍細胞(M5076細胞)を移植するマウス腫瘍移植モデルを用いて、BBIを食餌含量として0.5%-1%含まれる食餌を摂取させた時の癌抑制作用を評価した。その結果、BBIの含量が0.5%レベルで腫瘍の成長がほぼ抑制され、かつ、肝臓への転移もほとんど認めれなかった。また、体重減少等のBBI摂取による副次作用もまったく認められなかった。この1日あたりのBBI摂取量を人に換算する50-100mgで、BBIを主にしたサプリメント等で安全に摂取可能であることが判明した。また、このBBIの癌抑制作用はCx43遺伝子の誘導と密接に関連していることが明らかになったので、特にBBIはCx43遺伝子が癌抑制遺伝子として作用している悪性腫瘍(骨肉腫、中皮腫等)の予防、場合によっては治療に有効である可能性が高まった。
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