【目的】長期の高脂肪食摂取は骨格筋の酸化系酵素活性を増大し、持久力を高めることが知られているが、肥満や高脂血症を発現し、必ずしもスポーツ選手にとって好ましい食事法とは言えない。ところで、近年脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインの存在とその働きが明らかにされてきた。本研究においては、長期の高脂肪食摂取が血中アディポサイトカインレベルに及ぼす影響について検討するが、平成20年度は、ラットを対象に、異なった脂肪酸組成の高脂肪食が血中アディポサイトカインレベルに及ぼす影響について検討した。 【方法】実験動物として5週齢のWistar系雄ラットを用いた。これらを普通食群と高脂肪食群に分け、高脂肪食群はさらに動物性高脂肪食群と魚油系高脂肪食群に分け5週間飼育した。 【結果及び考察】 体重は食事による違いが見られなかったが、高脂肪食摂取により内臓脂肪重量は増大した。血中アディポネクチンレベルは普通食群と比較し高脂肪職群で低く、特に動物性高脂肪食群で有意な低下が見られた。血中レプチンレベルは高脂肪食摂取により増加し、体脂肪量とレプチン濃度の間には有意な相関関係が見られた。 以上のことより、高脂肪食摂取は血中サイトカインレベルを変化させるが、魚油系高脂肪食摂取は動物性高脂肪食と比較し、その変動は小さく、メタボリックシンドロームを予防する食事として魚類の摂取が推奨される。
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