【目的】長期の高脂肪食摂取は骨格筋の酸化系酵素活性を増大し、持久力を高めることが知られているが、肥満や高脂血症を発現し、必ずしもスポーツ選手にとって好ましい食事法とは言えない。ところで、近年脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインの存在とその働きが明らかにされてきた。本研究においては、長期の高脂肪食摂取が血中アディポサイトカインレベルに及ぼす影響について検討するが、平成21年度は、ラットを対象に、異なった脂肪酸組成の高脂肪食摂取が血中アディポサイトカインレベルに及ぼす影響について検討した。 【方法】実験動物として5週齢のWistar系雄ラットを用いた。これらを普通食群と高脂肪食群に分け、高脂肪食群はさらに動物性高脂肪食群、ジアシルグリセロール高脂肪食群及び中鎖脂肪酸高脂肪食群に分け5週間飼育した。 【結果及び考察】 体重は中鎖脂肪酸高脂肪食群が他の群と比較し有意に低い値を示した。副睾丸脂肪組織重量は高脂肪食摂取により増加したが、中鎖脂肪酸高脂肪食群はコントロール群とほぼ同じ値を示した。血中アディポネクチンレベルは普通食群と比較し動物性及びジアシルグリセロール高脂肪食群で低い値を示した。血中レプチンレベルは高脂肪食摂取により増加し、特に動物性及びジアシルグリセロール高脂肪食群で高い値を示した。また、体脂肪量とアディポサイトカインレベルの間には負の相関が、またレプチン濃度との間には有意な正の相関関係が見られた。 以上のことより、高脂肪食摂取は血中サイトカインレベルを変化させるが、中鎖脂肪酸高脂肪食摂取は動物性高脂肪食と比較し、その変動は小さく、メタボリックシンドロームを予防する可能性が示唆された
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