研究課題
基盤研究(C)
今年度、H.pylori感染、ストレスの単独負荷及びそれらの複合作用により誘導される酸化ストレスに対するわさび葉の有効性を明らかにすることを目的として行った。in vitroにおいては、酸化ストレスによる傷害の前駆体となるO_2^-、NOに着目し、NBT還元法によりO2-消去活性を、培養細胞HL-60を用いてO2-産生抑制効果を、RAW264.7を用いてNO産生及びiNOS発現抑制効果を検討した。その結果、わさび葉のMeOH ext.は、強いO_2^-消去活性を認め、O_2^-産生に対しては弱いながら抑制効果を示したが、NO産生およびiNOS発現に対しては強い抑制効果が認められた。さらに、O_2^-消去活性、NO産生抑制効果についてMeOH ext.の活性画分を検討した結果、EtOAc ext.及びn-BuOH ext.が活性を示した。in vitroにおいて活性を示したわさび葉EtOAc ext.およびn-BuOH ext.の混合物を、H.pylori感染スナネズミ(Mongolian gerbil)に10日間経口投与した後、30、90、270分間拘束ストレスを負荷し、酸化ストレスに対する抑制効果をHPLC-ECD法により胃組織中の8-oxodG量より、Fpg protein (Formamidopyrimidine DNA glycosylase)を応用したComet assayによる血液中の酸化的DNA損傷性より検討した。その結果、H.pylori感染群、H.pylori非感染における270分間の単独ストレス負荷群、H.pylori感染時の270分間のストレス負荷群において対照群と比較して8-oxodG量、酸化的DNA損傷性が有意に上昇した。しかし、わさび葉抽出物投与群において、それらの上昇が有意に抑制されることを確認した。本研究では、わさび葉抽出物がH.pylori感染、ストレス負荷及びそれらの複合作用を抑制することを明らかにし、わさび葉抽出物中のantioxidantが消化器疾患における酸化ストレスの過剰亢進を抑制することにより、その胃粘膜傷害を抑制したものと推察した。これらの結果より、従来捨て去られていたわさび葉の新たな機能性を見出したことから、今後の有効利用が大いに期待された。
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