研究課題
本研究は若年女性の「隠れ肥満」の成因と改善方法を探るものであり、1〜2年目の研究実績は次のとおりである。1.1年目(18年度)は、「隠れ肥満」に特徴的な食行動パターンや体組成、エネルギー代謝、自律神経活動動態等の生理学的な特性を明らかにするため、若年女性103名の測定および調査を行い、隠れ肥満の形成には遺伝的素因(UCP1遺伝子-3826A/G多型)や低い交感神経活動が関与している可能性し見出し論文として公表した(永井、肥満研究2006)。ただし食行動パターンにはクリアな結果が認められなかった。そこで2年目(19年度)は質問紙を作成し直し、新たに100名の別の若年女性を対象として詳細な食行動・生活習慣調査(ダイエット歴など過去に遡る調査)、InBodyによる体組成測定、自律神経活動など生理学的パラメータ測定を再実施した。現在データ解析中であり、その結果は3年目(20年度)の日本肥満学会に発表する予定である。2.1年目に食事の質(栄養素組成)を重視した2週間の完全給食による食事介入を、「隠れ肥満」若年女性を被験者として実施し、体組成、生化学・生理学データともに著しい改善をみた。その成果を、ヨーロッパスポーツ科学会、ネスレリサーチセンター、日本肥満学会で発表し、内容の一部は産経新聞で紹介された。19年度は、成果を公表するとともに(論文投稿中)、研究成果の一般化に向けて、(1)フォーミュラ食による一食置き換え法、(2)1食バランス法とフリージングの活用、の2つの介入試験をそれぞれ2週間ずつ実施した。(1)では、フォーミュラ食への置き換えによっても充分な体脂肪減少とメタボリックシンドロームに対する予防医学的効果が認められ、さらにL-カルニチン含有により体重減少停滞期を抑制できる可能性を示唆する結果を得た(小橋、永井ら、肥満研究2006)。(2)では、栄養計算不要の1食バランス法やフリージング活用で、より簡便にバランスのよい食事を整える方法を考案し、実際に20人の女性を対象とした「完全給食(大学で調理)」による介入試験でその効果を検証した。食事の改善により体脂肪減少や血液性状改善がみられ、さらに1日5000歩の身体活動量を加えることにより「女性特有の冷えの症状」や深部体温の上昇などの効果が加わった。以上の結果は、20年度の日本栄養・食糧学会(5月・埼玉)、国際栄養士会議(9月・横浜)で発表し、論文としても公表する。3.以上の研究より若い女性で、代謝・自律神経活動低下により「冷え」や「体脂肪蓄積」が起こるメカニズムが示唆されたが、それを検証するために19年度には、女性35名を対象とした「マイルドクーリング実験」を行い、様々な生理学的パラメータの経時的測定、遺伝子解析を実施した。得られた結果を20年度に順次公表する。
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肥満研究(日本肥満学会誌) (印刷中)