研究概要 |
本研究では、体重は正常範囲にありながら体脂肪率高値の、いわゆる「隠れ(正常体重)肥満」の若年女性に特徴的な食行動、体組成、代謝・自律神経活動等の生理学的特性,遺伝的特性(肥満関連遺伝子多型)を明らかにし、カロリーだけでなく食事の質を重視した食事介入試験により、改善のためのアプローチを探求した。研究の結果、若年女性をターゲットとした栄養教育(正しい減量方法やバランスの良い食事)の必要性が示されるとともに、その具体的な支援策の一助となるデータを得ることができたと考えられる。 ■隠れ(正常体重)肥満若年女性の食行動,代謝像に関する研究成果 1年目には若年女性103名の測定と調査を行い、隠れ(正常体重)肥満形成に遺伝的素因(UCP1遺伝子-3826A/G多型)や低い交感神経活動が関与している可能性を見出し論文として公表した(肥満研究2006)。2年目には新たに100名の若年女性を対象として詳細な食行動・生活習慣調査(ダイエット歴など)と測定を実施し、交感神経活動減弱の要因として、比較的短期間にダイエット行動(概ね一週間以上の食事制限を主とする減量)が繰り返されることが一因となっている可能性を見出した(肥満研究・査読中)。 ■隠れ(正常体重)肥満改善支援のための改善食開発と食事介入試験に関する研究結果 改善支援プログラムでは、1食をバランス良く組み合わせるための「バランスシート(武庫川女子大学栄養クリニックバランス型紙を基に作成)」とバランスメニューを作成し、2度の介入試験により効果を検証した。また、料理が苦手な人のためにフォーミュラ食で夕食を置き換える介入試験の効果も検証した。以上の成果は5編の論文として公表した(肥満研究2007,日本栄養・食糧学会誌2007,肥満研究2007,糖尿病2008,肥満研究2008)。 ■マスメディアからの取材・公表:次のメディアを通じて結果の一部が公表された。 NHKためしてガッテン「低カロリーダイエットの別れ道」2009年1月24目放映,朝日新聞夕刊・関東版2009年3月30日)等。
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