研究概要 |
本研究は、食品におけるポリフェノール化合物のうち、血糖値調節用に役立つ機能性を有する化合物を特定してその活用を行う基盤づくりを行うものである。本年度、食品におけるポリフェノール化合物を検索する課程で、総社市における特産品、白サツマイモであるきびみどりの葉に多くのポリフェノール化合物の存在を認めた。このうち、α-グルコシダーゼ阻害活性を指標にして検索を行った結果、クロロゲン酸の他、興味ある3つの化合物の存在を見出した。これらの未同定化合物を明らかにするために、きびみどりの乾燥葉からポリフェノール類を70%エタノールで抽出し、濃縮後、0.1%トリフルオロ酢酸で平衡化したODSカラムを備えたHPLCにて0-80%アセトニトリルにて溶出し、目的とする化合物を精製した。得られた化合物のUVスペクトル、加水分解による構成成分分析、MS分析により、それぞれクロロゲン酸(3-0-caffeoylquinic acid)、3,4-0-dicaffeoylquinic acid、3,5-0-dicaffeoylquinic acid、4,5-0-dicaffeoylquinic acidであると同定した。これらの化合物はいずれもα-グルコシダーゼを特異的に阻害することが示された。 また、HPLCを用いて、きびみどりの乾燥葉におけるクロロゲン酸及びその誘導体の含量について分析した結果、クロロゲン酸が乾燥葉gあたり20mg、上記3つの誘導体を併せて16mg、これらを合算して36mg存在することが示された。この結果は、きびみどりの乾燥葉を活用すれば、血糖値調節に役立つ食品の開発に有効であることを示唆している。
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