研究課題
基盤研究(C)
生活習慣病は今日、緊急に克服すべき社会的な課題である。糖尿病は代表的な生活習慣病の一つであるが、この疾患にはI型とII型の2種離知られており、このうち、II型は糖尿病患者の95%以上を占めている。現在、2つの方法がこの病気の治療及び予防が行われている。治療の目標は血糖値の調節におかれているが、有効に利用されている薬剤治療は副作用があるため、血糖値調節に役立つ食品における機能性成分に注目されている。これらの成分としては、小麦アルブミン、グアバ茶ポリフェノール、難消化性ポリデキストロースなどが知られている。私たちは、これら以外の機能性成分につき検討を行ってきたが、パキスタンの自生植物Nerium indicumの葉に血糖値調節に効果を示す成分を見出し、これをクロロゲン酸であることを明らかにした。更に、これまでの既知のポリフェノールについて検討した結果、カテキン類ならびにクエルセチンに同様な効果があることを明らかにした。私たちは、血糖値調節の観点から、食品に含まれる成分により、それらの食品を摂取することにより、血糖値調節にどの程度効果を有するかをあらわす指標を作成することを計画しているが、このためには、食品における有効成分を究明しておく必要があると考えて、食品におけるポリフェノールの血糖値調節機能を有する成分の検索を引き続き詳細に検討を行った。その結果、総社市の特産品である白サツマイモであるきびみどり葉にクロロゲン酸の誘導体が大量に存在し、しかもそれらの化合物は血糖値調節に裕子であることを明らかにした。この化合物を単離・同定した結果、キナ酸と2分子のコーヒー酸とエステル結合した3種類のクロロゲン酸の誘導体であることを明らかにした。以上の諸結果は、各食品による血糖値調節の指標を作成するに当たり、その基盤を与えるものである。
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Journal of Nutritional Science and Vitaminology Vol.53
ページ: 166-173
J. Nutr. Sci. Vitaminol Vol. 53, No. 2