研究概要 |
骨粗懸症とは、「骨折リスクを増すような骨強度上の問題をすでに持っている人に起こる骨格の疾患」と定義され、発症者は2010年には1,245万人に達すると予想されている。発症する前の予防が重要と考えられ、特に骨量の減少を抑制することが必須である。 そこで、本研究は、粉末緑茶の主成分であるEGCGに着目し、骨強度と破骨細胞への効果を明らかにするために行われた。 9ヶ月令のSD系多産ラットに卵巣摘出術(OVX)を行った結果、OVXを施していないScham郡とOVX群の血清エストラジオール(E2)値を比較すると、OVX郡の血清E2値の低下が見られ、子宮湿重量も有意に減少した。これらの結果から、更年期モデルラットの確立が明らかとなった。骨強度を測定すると、Scham郡と比べ、OVX群では優位な骨強度の減少が認められ、同時にEGCGを投与した郡では、この減少が抑制されることが明らかとなった。 破骨細胞株RAW264.7細胞はReceptor activation of nuclear factor κB ligand (RANKL)を添加させ分化させると、コートしたハイドロオキシアパタイトを溶解しプラークを形成する。EGCGを添加しておくと、細胞の分化とプラーク形成が抑制されることが明らかとなった。これらの結果から、EGCGは更年期の骨強度の維持に有効であることが示唆された。 本年度は、この事実に基づき、健常閉経後ボランティアによる粉末緑茶と運動の効果を明らかにしたいと考える。
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