研究概要 |
本年度は、黒糖焼酎蒸留残液から、蒸留残液(黒糖もろみ酢)ともろみ粕と分離したものを実験材料として、以下のことについて実施した。(1)黒糖もろみ酢投与による鉄欠乏性ラットの改善効果:鉄欠乏食に凍結乾燥した黒糖もろみ酢を添加した飼料で4週間飼育し、体内の鉄(ミネラル)を分析した。貧血の指標である血清鉄、ヘモグロビン、フェリチン、ヘマトクリット、総鉄結合能及び不飽和鉄結合能のいずれも、対照食とほぼ同程度の分析結果となった。(2)黒糖もろみ酢の栄養効果:対照食に乾燥黒糖もろみ酢5%を添加し4週間飼育し、栄養状態の指標である血清たんぱく質、尿素窒素、血清脂質、免疫たんぱく質及び血清酵素を分析した。とくに、免疫たんぱく質であるIgGとIgA濃度が有意に高濃度となり免疫能を高める可能性を示唆された。(3)黒糖もろみ酢と脂質代謝:高コレステロール食に5%の乾燥もろみ酢ともろみ酢のエタノール可溶部を添加し、血清コレステロール上昇抑制作用について検討した。血清及び肝臓中のコレステロール濃度がもろみ酢とエタノール可溶部で低濃度となり、エタノール可溶部の方がより有効であった。この原因は、コレステロールと胆汁酸の糞排泄量から確認できた。(4)黒糖もろみ粕と脂質代謝:凍結乾燥したもろみ粕を飼料に添加(5%,10%)し、酒粕を対照として、脂質代謝への影響を比較検討した。血清コレステロール濃度は、酒粕、もろみ粕ともに上昇を抑制し、もろみ粕の投与量が多いほど有効であった。また、肝臓の総脂質量の蓄積をもろみ粕が抑制した。
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