研究分担者 |
藤本 淳 中村学園大学, 栄養科学研究科, 教授 (80080547)
馬場 良子 産業医科大学, 医学部, 講師 (90271436)
松隈 美紀 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 助教 (40259669)
近江 雅代 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (20301682)
宮崎 瞳 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (60412558)
|
研究概要 |
乳幼児のアレルギー疾患の大半は食物に起因し,特に出生後1年未満児の発症率が高いといわれている。そこで本年度はこれまでの研究成果に基づき,栄養方法を違えて乳飲期から離乳期にかけて飼育を行い,実験モデル動物の作成を行った。実験モデル動物の作成は母乳栄養群,人工乳栄養群,低分子栄養群(グルコース,アミノ酸),混合栄養群(母乳+人工乳)に分け,小腸の消化吸収機構の変化を免疫組織化学的方法および電子顕微鏡等を用いて分子栄養形態学的検索を行った。さらに消化管の管腔側から上皮層を通過して粘膜固有層へのアレルゲンの侵入経路を知る目的で高分子物質またはアレルゲンを用いて検索を行った。 母乳栄養群の十二指腸、空腸の吸収上皮細胞において頂部細胞膜領域から高分子物質を吸収する機構(エンドサイトーシス)と高分子物質を頂部細胞膜領域から基底、側部細胞膜領域へ輸送する機構(トランスサイトーシス)が観察された。回腸の吸収上皮細胞において,高分子物質をエンドサイトーシスによって大量に吸収し,巨大ライソゾーム内で貯蔵と細胞内消化を示唆する像が観察された。人工乳栄養群、低分子栄養群および混合栄養群の十二指腸、空腸の吸収上皮細胞では最初トランスサイトーシスが消失し,その後エンドサイトーシスが消失した。人工乳栄養群および混合栄養群の回腸吸収上皮細胞においてエンドサイトーシスによって細胞内に吸収された高分子物質は初期エンドゾームまでは観察されたが,後期エンドゾームおよび巨大ライソゾーム内には認められなかった。低分子栄養群の回腸吸収上皮細胞は高分子物質の吸収機構に関しては母乳栄養群とほぼ同様の結果を示した。 これらの結果より乳飲期の栄養方法の違いにより小腸の吸収上皮細胞の吸収機構が異なることが示唆された。
|