摂食障害学生の毛髪中亜鉛濃度が標準値に近づくと過食が減り、精神状態も安定する傾向にあった。これらの結果を本学生に提示し、教育的指導した結果、さらに精神的安定を促した。本指導方法の評価を他の摂食障害者に、聞き取り調査した結果、摂食障害者の多くが、自分の精神的状態を数値で明確に提示される事への評価を認めた。摂食障害者の家族、特に母親からの評価が高かった。専門医やカウンセラーではなく、学生という立場であれば、日常接することの多い、教師という立場の人間が、自分の食に対する対応に対し、関心を持ってくれるという観点に高い評価が得られた。食を通して全ての価値観を決定する傾向にある摂食障害者にとって、食に関心を持っている教師に出会う事は重要である事が考えられた。すなわち、複雑化する社会状況に伴い、食教育の重要性も高くなると考えられ、その指導方法の確立は重要である事が示唆された。
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