日常的な発芽玄米の長期摂取が健康に及ぼす影響について検証するため、本年度は(1)資料収集と整理、(2)調査対象者への協力依頼、(3)予備調査の実施、(4)本調査(初年度)の実施とデータ入力・解析を柱として行った。当初の本調査の計画では、長期摂取者の調査は、面接聞き取り調査を全て行う計画だったが、市町村合併による住民健診の実施方法の変更(村での一斉健診が、個々に個人病院で受診に変更)により、一斉健診時に予定していた面接聞き取り調査が困難となった。そのため、面接聞き取り調査に加えて、電話による聞き取り調査と郵送によるアンケート調査を行い、謝礼は謝金ではなく図書券とした。以下に今年度の主な成果を記す。 1、梓川地区全世帯を対象とし平成17年に行ったアンケート調査結果をまとめた。梓川地区の発芽玄米に対する認知度は高く、食経験も7割以上にあったが、現在の摂取頻度は「週1日以上食べる」者が2割程度であった。食べ始めて「2年以上」の回答が最も多く、体調の変化を感じた対象は摂食頻度が多く、摂取期間も長いという傾向が示された。発芽玄米入りの白飯の食べ方としては、「白米4対発芽玄米1」と「白米3対発芽玄米1」の回答が多く7割近くを占めた。体調の変化としては、「便通の改善」が多く回答され(約9割)、次いで「血圧の安定」(約2割)、「ダイエット効果」が約1割だった。「血清コレステロール値の低下」、「肌荒れ、皮膚炎の改善」、「血糖値の低下」などの少数回答も挙がり、先行研究と一致した変化が自覚されていた。以上の結果は、長野県短期大学紀要(61号)に報告した。 2、農村女性の加工グループ「あずさ夢工房」のメンバー等を対象に、発芽玄米のおいしい食べ方や地域の産物も取り入れた加工・調理法について聞き取り調査を行い、味噌パン、おかきなどの調理方法をデジタルビデオにより記録し、それらの調理特性について検討した。
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