環境問題は、原因を探求し、その原因を取り除くことによって、問題の解決に至るという方向性をとることができない。なぜなら、環境問題の原因には、地球規模での人口増加や、経済活動の発展といった難問がよこたわっており、これらを直接的な方法で解決することは、現実上、不可能だからである。しかし、およそ全ての環境問題は、原理的に、環境への人為的負荷によって生じていることを思うなら、望ましい環境意識を有した人間を育てることによって、問題の根本的解決を図ることは可能であるばかりか、これこそが、唯一可能な環境問題の根本的な解決策であるとすら言えるだろう。しかし我が国における環境教育の現状は、アメリカやドイツなどの環境教育先進国に比較してまことに貧弱なものでしかないと言わざるをえない。このような観点から本研究は、環境教育・環境思想の先進諸国における諸理論の国際比較を通し、我が国の現状に適応した日本型環境教育の理論的基礎研究を行うものである。
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