研究課題/領域番号 |
18500663
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
松良 俊明 京都教育大学, 京都教育大学・教育学部, 教授 (20111990)
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研究分担者 |
坂東 忠司 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70218676)
梶原 裕二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10281114)
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キーワード | ダンゴムシ / 理科教材 / 土壌動物 / 物質循環 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、ダンゴムシの枯葉に対する摂食行動を中心に諸実験を行った。また、ダンゴムシの生態系に及ぼす影響を調べるための実験を,中学理科で取り上げる際の新しい方法を開発すべく試行を繰り返した。結果は以下の通りである。 1.ダンゴムシの摂食過程を視覚化するため、2枚のバットに同量の枯葉を敷き詰め、一方にはダンゴムシを50匹入れ、43日間デジタルカメラで一定の距離から撮影した。枯葉が摂食され、糞が蓄積される様子が対照区と比較してよくわかった。 2.ダンゴムシは硬い葉を好まないことが前年度に判明したが、それらを粉砕して与えれば摂食するか否かをみた。アラカシ・ツバキ・クスノキなどの葉を用いたところ、枯葉のまま与える場合より、粉砕して与えた方が体重が増加する傾向が見られた。しかしながら、有意な差は認められなかった。 3.餌のない状態でどれほど耐えうるかを調べたところ、約50日間で60%の個体が生存していた。またその間の体重減少はほとんど見られなかった。このようにダンゴムシは水分さえ与えれば相当期間絶食に耐えることができたが、このことはダンゴムシの消化管内に共生しているだろう微生物の作用によることが示唆される。ダンゴムシは欧州原産であり、日本を含む世界中に分布を広げたが、この絶食耐性の存在が、長期間に及ぶ人為的な移動・運搬での生存率の高さを保障し、そのことが現在見られるような広範な分布をもたらした可能性がある。 4.ダンゴムシが枯葉を摂食することにより、土壌微生物の活動が活発化し、有機物の無機物への転換を高める作用があるのではと考え、ダンゴムシに食わした枯葉の残滓および排出された糞が混在する容器に薄いデンプン液を加えヨウ素反応をみる実験を考案した。本年度はそのための予備的実験を行い、その実用性を確かめることができた。
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