本研究課題では、今後本格的に利用されることが想定される合成開ロレーダを用いて地球表面を高解像度観測できるリモートセンシング技術を初等・中等教育機関において取り扱い、人類が直面している地球環境問題に対応できる人材の醸成を目標として実施している。 まず、中学校の技術・家庭科(技術分野)における教育実践を想定した合成開ロレーダによる高解像度地球観測画像の科学技術教育に関する調査を実施し、教育実践の可能性を検証した。具体的な学習内容と学習指導計画については、教育実践に協力可能な中学校を訪問し、直接担当教員から意見招請を行った。調査結果を詳細に考察し「合成開ロレーダによる高解像度地球観測画像を用いた科学技術教育プログラム」を立案した。さらに、意見招請に協力した技術科教員を交えたワークショップ形式の研究会を開催し、本科学技術教育プログラムに関する実施の可能性について模索した。 次に、リモートセンシング技術の概要、合成開ロレーダの原理、レーダ電波反射器の製作・設置作業を含む反射実験方法、地球観測画像の解析処理方法などを体験的かっ実践的に取り扱う科学技術教育プログラムを開発するために、中学生が製作可能なレーダ電波反射器の設計と試作を行うとともに、加工の難易度と製作時間、材料費などを調査研究し試作した。 「合成開ロレーダによる高解像度地球観測画像を用いた科学技術教育プログラム」を実施するために必要とされる学校教育用合成開ロレーダ画像解析・表示ソフトウェアの仕様を学校の情報環境を考慮しつつ策定した。その結果、クライアント/サーバ型を採用し、Ajax技術を用いて合成開ロレーダ画像を解析・表示する方式とし、一部の機能が動作するソフトウェアを研究開発した。
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