本研究課題では、今後本格的に利用されることが想定される合成開口レーダ(SAR)を用いて地球表面を高解像度観測できるリモートセンシング技術を初等・中等教育機関において取り扱い、人類が直面している地球環境問題に対応できる人材の醸成を目標として実施している。 まず、中学校の技術・家庭科(技術分野)における教育実践を想定して立案した「合成開口レーダによる高解像度地球観測画像を用いた科学技術教育プログラム」に基づき、リモートセンシング技術の概要、合成開口レーダの原理、レーダ電波反射器(CR)の製作・設置作業を含む観測実験、地球観測画像の解析処理方法などを体験的かつ実践的に取り扱う授業内容を開発した。一方、本教育を実施するために必要とされるSARの原理などに関するWebコンテンツを開発するとともに、Ajax技術を用いた学校教育用SAR画像解析・表示ソフトウェアを授業利用できるように改良した。 開発した科学技術教育プログラムは、平成19年9月〜12月にかけて中学生を対象として教育実践され、事前・事後調査及び学習課題ごとに自己評価形式の調査を実施した。人工衛星を用いた観測実験では、学習指導計画に沿ってCRを生徒が製作し、設置することができた。実験に用いたSARは、宇宙航空研究開発機構によって運用されている陸域観測技術衛星ALOSに搭載されたPALSARとした。生徒の製作したCRから反射したレーダ電波が正確に観測され観測実験は成功し、学校教育用SAR画像解析・表示ソフトウェアを用いて観測された各CRの点像を明確に確認できた。
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