研究概要 |
本研究は,森林科学を体系的に学習するための優れたツールである樹木年輪を用いて,森林を構成する樹木の仕組み,そして森林そのものの仕組み,そして人類がこれまでに森林環境に及ぼしてきた影響などについて,障害者そして健常者が分け隔てなく学ぶための教材を開発する。また,教材を使用した森林環境教育の実践的研究をとおして,体験学習プログラムの開発と指導者育成プログラムを開発することを目的としている。最終目標として本研究では特に,視覚障害者の中から森林環境教育の指導者を育成し,視覚障害者を指導者として活用することの意義について実践的研究を通して実証する。また,先進事例として日本およ…び世界に広く研究成果を普及することを目指す。 平成20年度は,18年度,19年度に引き続き主として野外活動教材の開発を行うとともに,指導者育成制度の体系化を目指し研究を実施した。今年度は,年輪教材の開発において音声による年輪幅変動認知教材の改良を行い,プログラムを完成させた。また,視覚障害者からの森林環境教育指導者の育成に関して日本国内およびドイツにおける海外事例について文献による調査を行った。また,視覚障害者をガイドとして起用する際の指導者ニーズに関する調査を行い,視覚障害者が自ら指導者となる事への期待が大きいことを明らかにした。また,参加者とする森林体験講座を2回実施し,アンケート調査などを通しての効果に関する評価を行った。さらに,これまで実施した視覚障害者対応規格の総括を行い,開発した教材についての整理とその効果の分析を行った。
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