(1)従来、アジア留学生研究は、主に大学、実業専門学校を対象にしていたが、各種学校や専門学校にも多くの留学生が在学していたことが明らかになった。それらの内、工業系各種学校は、今日単科の工業大学となっている。本年度は、その中から、東京高等工学校(現・芝浦工業大学)と聖橋高等工学校(代表者の勤務校・埼玉工業大学)について資料調査を行って、前者については該校の80周年記念の校史研究として報告も行った(2007.6.16)が、該校への留学生は1932年に始まる。 (2)本務校の前身である、聖橋高等工学校(1938年改組)にもアジア留学生在学の事実は確認できたが、統計的把握の資料は発見できなかった。東京商工学校として創設された(1903)ので、当初「商業」と「工業」の両分野をカバーしていた。 (3)美術・工芸系専門学校としての東京美術学校のアジア留学生について、先行研究を手引きにして、洋画科卒業生にインタビューする事が出来た。また、台湾において美術学校卒業者の足跡調査を行った。美術学校におけるアジア留学生の在学は1911年に始まり、絶えることなく続いた。 (4)本研究の過程において、戦時中の「学校卒業者使用制限令」(1938)と「国民職業能力申告令」(1939)が、各種学校とその留学生も対象にされたことが判明した。
|