研究課題
基盤研究(C)
科学教育の分野では、これまで認知心理学の知見を用いて、子どもたちの素朴概念について、様々な角度から研究が行われ、子どもたちが素朴物理学、素朴心理学、素朴生物学といった領域固有な知識を持っていることが明らかにされてきた。しかし、それらの研究の大部分は、中高学年以上の児童期子どもや青年期の子どもを対象としたものであった。そこで本研究では、まず(1)我が国の幼児期から低学年児童期にかけての科学教育の歴史的変遷について論じた。次に、(2)幼児期の子どもが自然の事象をどのように認識しているのかについて調べた。特に本研究では、これまであまり研究が行われてこなかった空気、光、天体を対象に、幼児の認識を調べた。さらにこれらの自然事象のうち、特に幼児の認識に物語性が見られた天体の事象に対し、(3)大阪府下のB保育園の5歳幼児計24名を対象に、太陽と月についての幼児の認識が、物語絵本(=非科学的な内容の絵本)と科学絵本(=科学的な内容の絵本)とによってどの様な影響を受け、さらに1ヶ月後、それらの認識が持続するかどうかを調べた。認識についての質問内容は、太陽については、「太陽の色」、「太陽の個数」、「太陽の日没後の位置とそこでの行動」、「太陽の運行」、月については、「月の色と形」、「月の満ち欠けの理由」、「月の形体」、「月までの距離」の各4観点について個別面接法を実施した。この結果、我が国の幼児期から低学年児童期においては、第2次世界大戦までに、幼稚園では「観察」・「園芸」が、小学校では「自然の観察」のような科学的な保育・授業が行われていたが、戦後は明確な科学教育が行われていない事が明らかとなった。また、スクリプトの分析の結果、太陽については、各認識調査において12名中2名の幼児が、月については「月の満ち欠けの理由」の質問において12名中2名の幼児が物語絵本の影響を受けたことが示された。
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