研究概要 |
平成18年度における研究の成果は,以下の2点である。 1.日常の保育活動における観察事例から幼児の科学的萌芽について検討した結果,「科学の基礎的な発言」が,4歳児より5歳児の園児の活動の中で随所に見いだされた。そこで,幼稚園の保育活動における5歳児の科学的萌芽の実態を調査した結果,息を吹きかけて動く紙の自動車を作って遊ぶ活動では,科学的萌芽に繋がる「一時的な表現」より「科学の基礎的な発言」が多く見られた。小麦粉粘土を作って遊ぶ活動では,「科学の基礎的な発言」より「一時的な表現」が多く見られた。これらのことから,5歳児では扱う教材により科学的萌芽に最も近いとされている「科学の基礎的な発言」を引き出せる可能性に違いがあることがわかってきた。次年度は,どのような教材が「科学の基礎的な発言」を引き出すのに有効的であるのかについて研究を深めて行く予定である。 2.全国の幼稚園に対して保育活動として科学に関する遊びの必要性についてアンケート調査を行い,95園の幼稚園から回答が得られた。その結果,3歳児から5歳児まですべての園児に対して科学に関する遊びを計画的に取り入れた保育を行う必要性を感じている園がかなり多いことが分かった。しかし,実際に科学に関する遊びを取り入れている園は半数程度であった。活動内容の多くは,色水遊び,シャボン玉遊ぴや砂遊ぴであった。次年度は,幼稚園で実践されているこれらの活動が幼児の科学的萌芽を育てるという視点からどのような価値があるのかを,これらの教材を使った幼稚園での実践を通して検討し,幼児の科学的萌芽を育成するためのカリキュラムを提案していく予定である。
|