研究概要 |
本研究の目的は,モバイル学習環境を活用した実験・観察型の数理教材を開発し,その教育的有効性を実際の授業で明らかにすることである.本研究で開発するモバイル学習環境は,携帯情報端末としてPDA,さらに,PDAに接続するデータ収集機としてLabProと各種センサー(申請設備3台)で構成されている.これにより,データ収集機を活用した実験・観察中に,インターネットを介して収集したデータと画像等を送信・蓄積可能となり,しかも,実験中に情報検索・収集による調べ学習,さらに,遠隔地にいる生徒との協調学習も可能となる. 平成19年度は,ハンドヘルド・テクノロジーを活用した数学と物理との総合学習の教材を実践レベルまでに改良した.具体的な授業内容は,距離センサの前を生徒が歩いて時間と距離を表すS-Tグラフを作成する実験・観察型の探究活動を,遠隔地の2校で同時に行う実践である.まず,最初に両校の生徒は,与えられたS-Tグラフを描くように距離センサの前を歩くことを求められ,実験と観察を繰り返しながらS-Tグラフを作成する方法を習得する.次に,相手校に課題として与えるS-Tグラフを生徒自身が独自に作成する活動を行い,インターネットを通じでそのグラフを送信する.最後に,相手校から送られてきたS-Tグラフを描くためにセンサの前を歩く活動である.この授業により,数学で学習する座標平面や関数グラフの概念,さらに,物理で学習するS-Tグラフの深い理解が得られるものと考える.この教材の有効性は,平成20年度の研究授業で実証する予定である.
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