本研究では、主として操作型ロボットを対象とした段階的なロボット教材および作成補助資料の開発を目的とし、特に今年度は対象としては小学生に対象を絞り、ロボット製作初心者および初心者を指導する先生などの指導者をターゲットとした。 (1)2つのモータで動く簡単なロボットを教材化し、授業実践やロボット工作教室を実施した。有線ロボットの原型として2つのモータに電気を流して、スイッチのON/OFFで動くことができる。スイッチは厚紙とアルミホイルを用いたものを用い、コードをセロテープやガムテープで接続した。モータの軸にガムテープを少し巻きつけ、車輪代わりにする。半田付けなどを一切に使わずに、紙工作感覚でロボットを製作することができる。ロボットを操作するとモータに直結であるために単三乾電池1本を使用する。これをもとにロボットの外装は子供たちが創意工夫できるように幾つかの形態を用意した。紙コップであれば直立したようなロボットになり、厚紙で円錐の形を作成すると貝殻みたいな形になる。子供たちが自由に動ける形態を模索することが可能となった。また製作の手順を書いた説明書以外に製作手順をカード形式にしたものを用意して、あえて順番を示さずに自分で考えさせる訓練もできるようにした。製作時間の目標を1時間半から2時間程度とした。この教材を用いて、公立・私立の2つの小学校で実践授業を行った。特に7枚のカード形式の実践授業の結果については、論理的な思考力を育成することがわかった。授業実践結果をまとめて、日本教育工学会に投稿した。 (2)ゼンマイで動く簡単なロボットを教材化した。電気を使わない昔ながらの「からくりロボット」の製作を通して、ロボット製作に必要な機構について学ぶことができる教材を目標としている。茶運び人形をモチーフにしたゼンマイ動力を用いた機構を作成し、からくりの面白さがわかるようにした。地元寝屋川地域の民話にもとづき、「はちかづき姫」をモチーフにした「からくりロボット」を製作した。杯を置くとおもりによってゼンマイのストッパーがはずれて、ロボットが動き出す仕組みを実現した。製作時間を2時間程度とし、組立説明書を作成するとともにゼンマイやからくりに関する原理や歴史に関する簡単な資料もまとめた。研究結果を計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で発表した。 また、次年度の準備として、ロボットの走破性に関するロボットの試作および、アンケート調査用紙を作成した。
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