研究概要 |
現在求められている技術者とは,技術やシステムを机上で理解するだけではなく,実際にモノに触れることができ,その特性や性質を見抜く力を持った人材である.そして,近年の学生実験で使用する計測機器などは,高度な機能が付加されており,技術の根幹を学ぶためには障害になっている場合もある.このような状況下において,高専の教育目標である実践的技術者を育成するために,これまで工学実験の内容やその効果について検討されていない学生実験を早急に見直す必要がある.本研究は,技術を習得する基本である学生実験を通じて,高専が社会に出すべき実践的技術を持った人材育成を図ることを目的とする. これまでに講義の授業評価や教育手法改善の試みが多く行われているが,新たな試みを実践し,その後のアンケートで授業改善の効果を評価するものがほとんどである.そして,なぜ新たな試みが実施されたかを述べている例は少ない.このような取り組みに対し,我々は工学実験の教育改善を目的に,まずどのような教育法を適用したらよいのかを工学的にアプローチするかを検討した.そのために,工学実験を要領よく行う学生の特徴を明らかにするために,実験を行っている学生の視線および手先の動きをそれぞれアイマークレコーダおよびモーションキャプチャで解析を行った.この解析により,工学実験を要領よく行う学生には3つの特徴パラメータ,実験時間の意識・実験機器の取扱い・実験手順の理解があることを示唆した.また,グループ実験に対応した複数名の視野を同時観測する簡易型視野観測システムを開発し,グループ実験に適用し協調性を評価できることの有効性を示した.最後に,手先軌道解析の観点から,手先躍度と実験機器の取扱いの間に何らかの関係があることを明らかにした.
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