研究概要 |
本研究は, ベテラン及び中堅の教師が授業やそこでの教育技術をどのように捉えているかという視点をもとに, 現職教師及び養成段階の学生の授業実践能力の形成に寄与することを目的としている。とりわけ, 次の視点にもとづき, 学習指導における授業研究体制を提案し, 授業改善に資するところに特徴がある。 1) 学校教育現場での校内研修会における質の高い授業研究の方法とその体制づくりの提案 2) 養成段階の大学院生及び学生が参画し, 授業研究をする体制の提案 3) 教師自らの授業実践上の問題点を実践的に解決する力量の形成方法 4) 暗黙知である教育技術に焦点をあて, その伝達可能化 最終年度は, 主として次の4つの枠組みで研究を進めた。 (1) 校内授業研修会の持ち方に関する意識調査を実施し, 分析した。その結果, 全員参加型かつ多様な視点から教師の働きかけ等の授業実践力の向上を目指すものとして, ワークショップ形式の校内研修会が効果的であるとの知見を得た。 (2) (1)の校内研修会のスタイルとしてのワークショップ形式の研修会を, 秋田県内の17校, 5教育関連機関で実施し, その方式の定式化に努めた。 (3) 学生参画は, 実際の校内研修会をモニタしながらそれに対して大学教員等が解説やコメントできる「ミューチュアル・エントリー授業」を活用した実践が効果的であるとの知見を得た。 (4) 学生の主体的な参画を促すためのワークショップとして, 全国学力調査を素材にした子どもの学びを考察する取り組みを実践し, 効果的であったとの知見を得た。 なの, 昨年度と同様に, ワークショップ形式の授業研究会は, 複数校が参観し合う研修会での評価は高く, 特に, 小中連携を意図した研修会では高い評価を得た。一方, 日常的な校内でのコミュニケーション状況が良好であるような小規模校では高い評価を得られない場合もあった。
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