本研究では、盲ろう者のコミュニケーション支援を目的とし、音声コミュニケーションに重要な役割を果たしている韻律情報を触覚刺激で呈示する方式について研究している。 平成19年度においては、課題として挙げられていた(1)音声ピッチの視覚刺激呈示機能の必要性と、(2)ユーザー自身の音声ピッチ周波数の触覚呈示だけではなく、発声時の目標となる音声ピッチ周波数を教示するための教示用触覚刺激呈示の必要性上記の課題を解決するために、(1)PC画面による音声ピッチの視覚呈示機能の付加と、(2)目標となる音声ピッチ周波数を教示するための教示用触覚ディスプレイ部分の付加を実施した。 (1)では、PC画面上に触覚ディスプレイの配置に対応した視覚表示を具備し、視覚を用いることができる聴覚障害者が、視覚と触覚を併用することが可能となった。(2)では、これまでユーザー自身の音声ピッチ周波数の触覚呈示のために用意されていた16行2列の触覚ディスプレイに加え、新たに目標となるピッチ周波数を教示するために16行2列の教示用触覚ディスプレイを付加した。触覚ディスプレイ付加により、22mm×10mmの領域に16行×4列の触覚ディスプレイが配置され、示指末節手掌部を刺激するデザインになっている。 改良した本システムの評価の結果、(1)聴覚障害者には、視覚刺激と触覚刺激の併用が有効であることが示され、次に(2)音声ピッチ教示用触覚ディスプレイにより、ユーザーが目標となるピッチ周波数を確認することができるので、従来と比べて音声ピッチ周波数の調整がより正確になった。
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