研究概要 |
本研究は,視覚障害者の環境情報を保障するために,利便性の高い情報をデータキャリア技術で環境にマーキングする。そのようにランドマーク化された情報を,ロボットやカメラ等を用いて,状況の変化を積極的に検知・更新しながら,視覚障害者に必要な環境情報の提供を支援するシステムの有効性を示すのが目的である。これにより,予期できない環境変化(事物の移動や状況変化)に対しても,RFID(非接触無線IC)タグに書かれている目印情報(ランドマーク情報)を頼りに位置や状況の変化を知って,適切な行動をとらせることができるような支援システムの構築が期待できる。 本年度は,視覚障害者が環境情報を取得するには,記憶した目印情報に頼るという事実を,非接触型であるRFIDタグを利用することにより,様々な状況下で実験することを試みた。具体的には視覚障害学生のみを受け入れる我々の大学内での環境情報獲得の問題点をあたり,データキャリア技術で解決できるか否かを検討した。視覚障害者にとってRFIDタグは,非接触で情報を取り出せること,データの更新が可能で状況変化に追随できること,モノに情報を書き込めるのでパタン認識処理が回避できること,ネットワークにつなげられること,などの利点から,環境認識を格段に高めることが可能である。我々は,パッシブ型R : FIDタグやアクティブ型RFIDタグを環境に配置し,リーダやレシーバでタグの情報を検知する様々な実験を通して,信頼性の高い情報保障が行えることを確認した。
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