研究課題
本研究は、高等教育機関におけるチームによるソフトウェア開発演習を支援する環境に関する研究を行うものである。ソフトウェア開発を問題解決過程ととらえ、ソフトウェア開発の全工程における開発成果物に対して、それと関連付けて問題解決や知識獲得の軌跡を残すことにより個人の内省を促すとともに、個人では解決できない問題に対して、チームメンバー、クラスのメンバー、教授者、外部リソースとのコラボレーションを介した問題解決過程を促進させるプロセスモデルを提案した(平成18年度の成果)。本年度はこのモデルを基礎とした支援システムを開発した。そして、大学の演習に実適用を行った。その結果として以下のことが明らかになった。・53件の問題解決情報と8件の問い合わせ情報が蓄積された。8件に問い合わせについて、39件のメッセージ交換がなされた・そのほとんどはコーディング工程に関するものであり、コーディングにおける問題解決が頻繁に起こり、そのニーズが高いことが明らかになった・蓄積された問題解決情報の94%が他者から有益であると評価された。また問題解決情報の70%には内省がなされたことがわかった・タイムリーな情報は参照頻度が高いことが明らかになった。一方、開発が終了してから登録された問題解決情報も少なからずあった以上のように、今年度の適用により本手法の有効性が明らかになった。一方、問い合わせの数が少なかったこと、また登録された問題解決情報が開発終了後に登録されたことから、情報をよりタイムリーに収集できるように他の機能と連動させる仕組みについて継続研究を行う予定である。本テーマに関連して5件の学会発表を行った。そのうちの1件は「情報処理学会第70回全国大会」において学生奨励賞を受賞した。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
The 2nd International Conference on Knowledge, Information and Creativity Support Systems (KICSS2007)
ページ: 144-151