本研究代表者がこれまでに開発してきた「教授活動ゲーム」は、「意思決定ゲーム」と「模擬授業ゲーム」の2種類を実行できる。このうち、(1)前者を対象にしてゲーム盤作成を支援するオーサリング機能を開発すること、(2)「完全な学習制御とログの取得」という主旨をそこなわない範囲で学習者の相互作用を図るためのCSCL的機能を追加すること、(3)以上の機能拡張の効果を検証するために、「情報科教育法」の教材を本システムでe-Learning教材化し、教材開発の効率、学習制御機能やログを用いた学習評価機能の有用性、CSCL機能の教育効果などを評価することを目的とした。 研究初年度である本年度は、主に、目的(1)、(2)の教授活動ゲームの機能拡張に焦点を当てた。 当初、意思決定ゲームのゲーム盤を意思決定ゲームそのもので生成する計画であったが、最終的には、意思決定ゲームを使って模擬授業用の指導案を作成する機能を拡張し、指導案の複数ステップを使って「発問→評価→指示(+KR)」という教授行動の系列で、ゲーム盤を構成する各ステートの要素、すなわち、「説明/発問文」「対話インタフェースの種類」「内部変数更新ルール」「フィードバックメッセージ決定ルール」「次に進むべきステートの決定ルール」を記述することとした。そして、模擬授業ゲームで記述したゲーム盤の動作をシミュレーションしつつ、ゲーム盤のソースコードを生成する機能を実現した。 CSCL的機能としては、電子掲示板に内部変数の値を投稿し、閲覧モードで自動的にログインするための対話インタフェースを実現するとともに、ゲーム盤で指定した内部変数の値を特定の電子メールアドレスに送信する機能を実現した。 以上の作業と並行して、情報科教育法用の一部の教材もe-learning教材化した。具体的には、情報モラル、表計算ソフトウェアの活用などを題材とした指導用教材とその指導案化を行った。
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