本研究代表者が開発してきた「教授活動ゲーム」のうち、「意思決定ゲーム」を対象にしてオーサリング機能を開発すること、「完全な学習制御とログの取得」という主旨をそこなわない範囲で学習者の相互作用を図るためのCSCL的機能を追加すること、以上の機能拡張の効果を検証することを目的とした。 オーサリング機能の基本部分とCSCL的機能は平成18年度にほぼ実現した。ただし、オーサリング機能のうち、内部変数更新ルールのオーサリングと、同一形式の小問を連続テストして集計するようなゲームをオーサリングしたいといったニーズに対応できていなかったため、平成19年度はこれらの機能を実現した。内部変数更新については、複雑な処理を記述可能にしても、そこまで使いこなせるユーザならエディタで直接ソースを作成した方が効率的であるし、逆にソースを直接記述できないユーザはそこまでのオーサリング機能を使いこなせない。そこで、情報科教育法用の教材開発などを通じてオーサリング機能が有効に使われる範囲を特定し、機能の実現を図った。また、連続テスト機能の他に、評価実験の過程で必要になった新たな表示方式や分岐方式についても、新規にオーサリングできるようにした。 開発した機能を評価するために、教職課程履修者を対象に、表計算ソフトウェアの指導を行うための教材開発を行わせた。被験者は教授活動ゲームの利用も初めてであり、教材開発の経験も無かった。過去に開発された教材例を体験させた後、教材の流れをExcel上で設計させた上で、そのような教材を作成する上で役立つひな形を用意し、それを活用させてオーサリングを行わせた。内部変数処理のオーサリングが多少難しく、また、当該機能の開発と平行しながら実験を行ったため、最終的な仕上げは授業担当者が行ったが、実際に他大学の一般情報処理科目で問題無く利用できる教材が作成できた。
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