研究代表者らは、トータル・フィジカル・レスポンス法(Total Physical Response Approach、以下TPR法)の考えを取り入れ、対話性・実用性に重点を置いた外国語CAIシステムに関する研究を行ってきた。本研究では、これまで研究を行ってきた外国語CAIシステムの良さを生かしつつ、コンピュータ上だけでは実現が難しい部分の改善を目指し、ICタグを含めたユビキタス・ツールを用いて、個人および複数人数で学習活動を行える実空間体験型の外国語学習システムを開発する。ここでは、個人で学習を行う場合だけでなく、複数人数で学習する場面においても、適切な場所で適切な時に適切なヒント情報を提供する学習システムの検討及びその実装を図る。 平成18年度の研究においては、主に次の(1)〜(3)を行った。 (1)ICタグおよびインタラクションの教育への応用に関する調査研究 ICタグについては、ICタグの歴史的背景、しくみや種類について整理した後、ICタグが応用されている分野について概観し、一般社会におけるICタグの適用分野について分析する。その分析をもとにICタグの教育分野への応用動向を分析調査した。 (2)ICタグと関連づける音声データに関する管理ソフトの設計および試作 ICタグと各タグに関連づけるコンテンツについては、学習内容や学年、カテゴリによって使い分けが必要となるが、使い分けは煩雑さを生じ問題作成者側の負担が大きい。コンテンツについては、例えばりんごに貼付したICタグとappleというテキスト・音声・映像の各データを関連付けさせる必要があるため、コンテンツ管理を行うソフトの設計試作を行った。 (3)複数台のICタグリーダ付装置に対応した学習システムの設計 複数人数で学習する場面に対応できるよう複数台のICタグリーダ付装置からの情報やデータをやりとりするしくみが必要になる。そこでサーバー経由で送受信する仕組みについて検討設計を行った。 また、関連研究として、学習上のインタラクションとして、どのようなものが学習者の意欲・学習への刺激になるのかを調査研究した。また音声情報として、合成音声利用の可能性について検討した。
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