研究概要 |
本年度実施した主な研究の概要を以下に述べる。 まず技術教育におけるのこぎり引き学習の指導方法改善については,測定データを学習にフィードバックする方法および効果を整理し,論文としてのとりまとめをおこなった。 またこの研究の発展として,技能一般に関わりが大きい前腕部の巧緻性評価について,測定ならびに評価方法の開発・検討をおこなった。具体的には,腕相撲を模した加力測定器を製作し,グリップを握って前腕を内転させる方向の力の変化を測定評価した。3秒間隔で力を加えては保持する作業を,中学生や一般成入,テニス部員等に課したところ,前腕部の巧緻性がより求められる集団で評価が有意に高く,本研究で提案する方法が作業者の技能レベルを測定評価する方法として有効であることが示唆された。なお技能が未熟な中学生等において,前腕部での加力調節ならびに保持がほとんど適切に行えていないものが比較的多く存在することも確認できた。ただし,その原因等については究明できていない。 つぎに,測定的手法を用いた学習教材として,理科や体育など様々な教科指導で利用可能な位置計測器の試作をおこなった。特にこの測定方法では,視覚で捉えた物体の動きをそのまま測定に反映させることで理論と具体的な事象を結びつけ,学習効果を高めることを目指している。今年度は,ハード面について一応の試作が完成し,学習アプリケーションの開発についても基本部分の完成を終えることができた。現在,より広範な学習利用のため,FM通信を用いた遠隔利用についても開発検討中である。
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