研究概要 |
研究最終年度である本年は、これまでの研究の整理ならびに今後を展望した新たな方向性の模索を中心に、以下のような研究を実施した。 1) 測定的手法を用いた教材の効果や課題に関する整理と検討: 測定的な手法を用いることで学習効果が高められる学習内容について、これまでの研究成果をもとに検討を行った。特に、測定的な手法は、身体的技能を伴う学習において有効であり、作業行為を上手く評価する事が難しい初学者では、測定によって客観的な指標が示されることの効果は一層高いと考えられる。これを確認する為、本年度新たにバレーボールのスパイク行為に関する簡便な測定装置を開発し、基礎資料となる測定を行ったところ、行為者の技能レベルに起因する違いが観察され、学習に有効な情報としてフィードバックできることが示唆された。 2) 遠隔システムの開発と利用: 測定を学習に用いる上で、センサーと処理系を分割した方が良い場合が生じてきた。この対策として本年度は、赤外線や電波を利用した学習用測定器の開発を実施した。具体的には、物体の動きや距離等を指さしに近い体感的な方法でトレースするセンサーの開発を行い、続いてこのデータを無線でパソコンに送り処理するシステムの開発をおこなった。無線転送によるデータの欠損等、改善の余地はあるものの、実用性が高く今後の応用が期待される。なお、本件については、平成20年度日本産業技術教育学会中国支部大会において発表者が奨励賞を受賞した。 3) 測定的手法やITデバイスを用いた教材開発に関する整理: 上記1)2)に関連するが、測定と学習を関連付けさせるためには、学習者の対場に立った測定方法や理解しやすい結果の表現が求められる。本年は、研究の総括として、学習機器としての測定器に求められる性能や考え方,形状やソフトウェア等について整理し,具体的な開発ノウハウも含めた整理を行った。
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