研究課題
基盤研究(C)
臨床現場おいてX線CT検査は主要な検査法の一つとなっているため、診療放射線技師を養成する教育施設では主に実際のX線CT装置を用いた実験・実習を行っている。しかし、学生が電気的・画像解析的な原理を理解するには、実際のX線CT装置では内部構造が複雑で大型のため、実験・実習内容が制限されるとともに、X線による被曝の危険性にも考慮する必要がある。そのため、この目的に沿った簡便な教育用装置が求められている。そこで、我々はレーザー光を用いて教育用模擬CT装置システムを構築することを目的に、直進光成分の指向性と選別性に優れる光ヘテロダイン干渉法を用いて実験装置を構築し、検討した。試作した模擬CT装置を用いることで、学生は実際にスキャン時のビームを視認でき、X線による被曝も回避できる。また、得られた透過光強度データをもとに、X線CTで用いられている画像再構成アルゴリズムによって模擬CT画像を作成できるため、高い教育効果を期待できる。平成18年度は、透過光の検出方法を簡素化することで装置を小型化し、複数台の同時使用も可能な簡易型の教育用模擬CT装置を新たに試作した。この装置ではステップモータの制御と透過光強度データの収集にポケットコンピュータを用いることでシステム全体が小型となり、データ収集時間も短縮できた。この簡易システムは、X線CT装置の構造と画像処理を理解させる導入部分での活用が有用と考える。平成19年度は、光ヘテロダイン干渉法における直進光成分の指向性と選別性、回転ステージの走査間隔と模擬CT画像上のアーチファクトの関係を明らかにした。また、高さ方向の横断像を再構成して三次元画像を作成した。さらに、ファントム容器の性状と模擬CT画像上のアーチファクトの関係を明らかにした。
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日本保健科学学会誌 10・1
ページ: 43,50
The Journal of Japan Academy of Health Sciences Vol. 10, No. 1
ページ: 43-50