研究概要 |
ネットワークの普及に伴い,インターネットを活用したe-ラーニング教育が,企業での社員教育や高等教育機関等での講義や授業のサポート的な役割として,積極的に取り入れられている.本学においても,ネットワークを利用したキャンパス間での遠隔講義や講義のレポート提出を専用の提出フォームを利用しWebで行うなど,様々な場所でe-ラーニングが活用されている.こうしたe-ラーニングの普及の背景には,ADL (Advanced Distributed Learning)が提唱しているWBT (Web Based Training)の標準化規格のSCORM (Sharable Content Object Reference Model)の登場やWebCTなどのLMS (Learning Management System)の発展が考えられる.これらの登場により,コンテンツの制作・再利用・流通が行いやすくなり,また,アップロードや公開といったコンテンツの管理も簡単に行えるようになったため,幅広い分野で利用され,今後さらなる発展が期待されている.その一方で,LMSを利用して配信されているコンテンツは,学習者のオンラインテストの成績や講義の進捗状況などを考慮した,単純な制御で配信されることが多く,学習者の興味や関心から必要と考える最適なコンテンツを必ずしも配信してはいない.また,年々作成され増加していくコンテンツをいかに利用し,活用していくかが今後の課題となってきている. このような状況から本研究では,学習者のオンラインテストの成績や講義の進捗状況によるコンテンツの制御でなく,コンテンツを利用した学習者の中から,過去に同じような学習方法をしている学習者の閲覧履歴情報を見つけ,もっとも類似性の高い学習者の閲覧履歴情報を活用し,最適と考えられるコンテンツを提示する教育支援システムARS (An Individual Reviewing System)の開発を行った.本システムにおいて,より的確に学習や復習を行うために,教育支援機能としてbookmark機能,比較・分析機能,学習履歴表示機能の実装を行った.これらの機能により,学習者がどのように復習をしたのか,振り返ることでより学習や復習の効果を高めることが実験を通して明らかになった.
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