研究期間の1年目である平成18年度は、マルチメディア・コンテンツの作成準備と、注視点計測のための実験体制の構築を行った。 マルチメディア・コンテンツの作成に当たっては、「心理学の基礎」と「統計の基礎」を効果的に学ぶための学習プログラムを設計し、視覚教材を中心にコンテンツ作成のための資料収集を行った。いずれの課題においても教材の視覚提示が効果的であるが、どのような情報と組み合わせてどのように提示するかにより、学習効果は異なるものと考えられる。当初は、eラーニングのオーサリング・ソフトを用いて、具体的にさまざまなコンテンツを作成する予定であったが、市販のソフトの中から何を選択するかについては検討すべき要因が多く見出されたため、慎重に選択を行い平成19年度の初めに実施することにした。 本研究では、コンテンツの作成とともに、注視点計測の実験が重要なテーマとなっている。当初の計画では、視線の移動を分析するソフトウェアの導入を平成19年度としていたが、平成18年度中に導入することにした。ナック・イメージテクノロジー社のアイマークレコーダEMR-NL8を使用して、パソコン画面上の注視点データを取得する実験体制はすでに整っていたが、本研究では解析ソフトの新製品であるEMR-dFactoryを導入して、取得したデータの効率的な分析を可能とした。このソフトウェアでは、実験協力者が見ている画面をAVI形式でデータとして取り込むことができるため、注視点の位置をピクセル単位で出力する従来の機能に加え、指定した領域内で停留した回数や時間のデータの出力と画像表示、停留点の移動パターンの図示などが行えるようになった。したがって、当初の計画では平成19年度に予定していた実験実施とデータ分析のための体制を、平成18年度に整えることができた。
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