今年度は2年間の研究期間の最終年度であり、研究目的としているマルチメディア・コンテンツを含むeラーニング教材の視聴時における注視点を記録し、その分析に基づいて教育効果を認知過程の観点からとらえるための実験を実施した。実験から以下のことが明らかになった。まず、テキスト情報の表示に関しては、注視時問や注視の回数が記憶を促進せず、注意を喚起するような色付けやマーク付与を行ったとしても、後のテストにおいて成績を高める効果が得られなかった。また、アニメーションを使った図示では、講師の話と連携し講義を補足するような画面提示がある場合には、図と講師の顏とにバランスよく注視が配分され、よく理解され記憶されるものの、講師の話をうまく補足しない場合には注視の効果が見られないことが示された。 そこで、今年度購入したオーサリングソフトXpertを用いて、効果的なeラーニング教材の作成を試みた。教材の作成に当たっては、まずパワーポイントによるスライド作成を行うが、講義内容との連携が必要なので、アニメーションの設定を慎重に行った。その後、スライドはHTML形式で保存し、講義画像の録画と同期させて保存した。「心理学の基礎」の中で視知覚の情報処理過程を取り上げたが、テキスト表示にもアニメーションを使用し、図による表示と合わせて効果的な教材を作成することができた。
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