研究概要 |
19年度は,幼稚園にパーソナルロボットを持ち込み,園児,父母,教員などで構成する幼稚園コミュニティの活動を観察した。18年度はロボットの操作を主に私達,研究者が行ったが,19年度は,ロボットの操作を研究者から教員に移譲する試みを行った。私達は,教員がロボットを操作しやすくするために,PDAを使用して,ロボットを遠隔操作し,音楽演奏,会話などのロボットの動作をひとつひとつアイコン化して操作できるようなシンプルなインタフェースを開発し,教員に使用してもらった。しかし,教員がロボットを操作できるようになることは,インタフェースデザインや,教員の個人の能力だけではなく,幼稚園の環境と大きく関係するのである。最初,私達は,幼稚園の朝の9時の登園時間に,忙しい教員の負担を軽くするために,半自動システムでロボットが動くようなプログラムを制作したが,教員は,教室内の園児に注意を取られ,半自動であってもロボットを操作することはできなかった。そこで,10時すぎの幼稚園が落ち着いた時間に,教室ではなく,大きな講堂に1クラスの教員と園児が移動することで,講堂において,教員は集中してロボットを操作することができた。また,研究者が教員に張り付き,適切なタイミングで適切なアドバイスをすることで,教員は,ロボットを操作できるようになった。このように,ロボットコミュニティにおいて,ロボットを操作しやすくし,ロボットの動作がコミュニティにとって意味のあるものにするためには,時間,空間,教示などの環境を整えること重要なことがわかった。
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