研究概要 |
ユニバーサル・アクセス化が進む高等教育における情報教育の効果的授業法に焦点を当てた授業実践を行っている。情報教育科目にグループ学習やペア学習を取り入れ,効果と問題点を明確化しその対応策を検討している。 ペア学習を利用したプログラミングの授業実践において以下の知見が得られた。 文系で情報リテラシ能力が低い学生にとって、コンピュータ操作を含む演習科目の中でも特にプログラミング言語の習得はつまずき点が多々あり、授業の途中放棄につながりがちである。過去の実践研究により、丁寧なテキスト教材を提示すると、授業の途中放棄(脱落者)は大幅に減少するものの、応用が利かない、自力で不明点を調べられない(新しい命令を使いこなせない)などの課題が残されていた。 学生に提示するテキスト教材を工夫し,簡単な課題は資料の参照のみでできるが、発展課題はテキスト参照が必要なものを用意すること、最終提出課題では未学習分野の機能を取り入れることを条件づけした結果、自分で調べる力の向上がみられた。 情報リテラシ科目におけるグループ学習の工夫とその効果としては、すでに以下の知見が得られている。 グループ学習の効果は認められたが、教える側、教えられる側の固定により特定学生への負担が増加すること、教えられる側の学生の依頼心を増幅させてしまうといった欠点が認められている。授業初期段階にアイスブレーキングを行い、クラス内のコミュニケーションを円滑にすることで協調学習しやすい環境づくりに努め、授業中盤では出席状況や学生の能力に応じたグループの再編成により役割に変化を持たせる。これらの結果、欠点はほぼ解消している。
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