研究課題
本研究では、e-Learningを効果的に行うために、学生の孤独感と先生の距離感を和らぐための広域学習環境の構築を中心に展開している。今年度は、主に学生の学習状況を把握・評価するためのアセスメント環境の検討を行った。既存の評価ツールが大きく、汎用的なものと専用的なものに分けられ、別々の環境で独自の内部ロジックで動き、また、そこで利用されているコンテンツも互いに共用しにくい。この問題を解決するために、我々は、従来のシステムの枠を越えて、外部の異種で独自なシステムを簡単に「借用」することが重要と考え、WebサービスベースやAPIを用いて、e-Learningシステム間連携のためのフレームワークを提案し、その構成・プロトコール・データフォーマットなどを与えた。また、これに基づいて、これまで開発した多くのシステム:「クイズ・穴埋め・ペアリング型演習システム+類似問題生成ツール」、「教示・演習機能をもつプログラミングシミュレータ」、「SQL演習システム」などの異なる目的・型・構造のシステムについて、相互接続するためのWebサービス機能やAPIの拡張を行い、その動きと手順、連携状況、利用者に与える影響を考察した。この枠組を活用して広域的な連携が進めば、これまでのe-Learningの大きな障害である「教員側の負担」の軽減に有効である。従来のシステムの機能拡張が容易になり、バージョンアップなどの煩雑な作業と時間の負担が経験できる。ネット経由で利用者(教員)が増加すれば問題の作り手が増え、そこから負担の軽減だけでなく、異なる大学の教員間の連携も促進できる。また、サーバやシステム要員を持たない小中高などの教育の現場において、e-Learningが容易に導入できるようになる。一方、学習側から見れば、複数の演習システムよりも、一つ統合した演習システムの利用がより自然で使いやすくなる。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
情報処理学会論文誌データベース Vol. 2, No. 1
ページ: 22-32
信学技報 Vol. 108, No. 470
ページ: 1-6