スワインズヘッド『計算の書』は、数学を自然学や形而上学に適用した歴史上最初の例として後にライプニッツによって賞賛され、高度に精緻で複雑な内容と形式もつ。本研究ではその内容を分析し、またとりわけイベリア半島におけるその影響を明らかにした。14世紀スコラ自然学は、アリストテレスに代わる「新自然学」を生み出したが、さらに本研究の成果により『計算の書』は新たな数学的テクニックを確立したことを指摘し、こうしてエウクレイデスに代わる「新数学」を誕生させた。この「新数学」が後代に与えた影響と、その影響力が失われた実相を明らかにした。
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